エフェメラの胎動

おまじない

僕のこと忘れて欲しい病葉よ春雷を待つ新芽のために

 

悲しいと言えば簡単で聞こえの良いこの感情は、

決してその一言では済まない代物だ

脇道に寄せられた汚い雪が腐っていく

耳を澄ますと、その断末魔が静かに響き渡る

僕というものは四六時中冬を考えている

生クリームが乗せられたココアの

白と焦茶の境目がそっくり丁度よく

その雪の死骸に似ている

 

僕はその日学校へ行けなかった

 

この日のことをよく思い出す

降り積もる白い地層のきしきしとした重みで

この星が圧縮されていく気がした

傘が少しずつ重たくなっていって

木星のことを考えながら帰路についた

ココアを出してくれた駅前の小さな喫茶店

マスターのカラオケを聴きながら窓の外を見た

僕には友達がいなかった

 

狡休みを許されたかった、一度だけでよかった

僕のどうしようもない心に、そっと温かい

息を吹きかけて欲しかった

 

薄汚く濁った白い空から、同じ色の雪が降る

涙も流せなくて、ただ、味のしない涎だけが

僕の口の中を洗い流して、そして血の味が拡がる

少しずつ汚れていく氷が陽に溶けて泥になる

 

許されなかったから、嘘をついたんだ

 

tumbling,ing

 

足の底から冷えていく

虫の死に際の羽音が

火花のように季節を終わらせる

朝と夜に凭れ続けて

真昼を知らなくなっていく

氷の入った水を飲み干していくとき

透き通った管が身体を巡ることを知る

小さな氷塊が溶け出していて

朝焼けの湖の水面の煌めきを

まるでまるごと掬い取っている

なんでもない僕の言葉が

端から溶けて消えていく

割れた記憶の端を繋ぎ合わせて

ひとつの短編集をつくる

美しいのはそれだけで

僕は酷く醜悪だった

 

 

ハインリヒ・ハイネ・クライネ

 

 

日々が過ぎゆくことを風と称して

時が過ぎゆくことを川と称した

痛みを抱えて日々は輝くと宣った

艶とした綺麗な肌に傷がない

愚か者よ、愚か者が

 

幼子の歩く音

微睡を啄む鳥の声

全てに堪えかねている

手入れされない庭の重さ

全てに堪えかねていて

愚か者が、こちらへ歩み来る

 

ぼくと違ういのちが

ぼくを責め立てていて

二分されたたましいの片割れが

風船みたいに飛んでいった

怖い風の音が遠くの国で鳴っていて…

 

 

シーラカンス午後0時

 

 

死んだ虫が美しいのは

形だけがそこにあるから

蠢く手脚にはいやというほど命がある

春一番に晒された君の髪が

卑しく解けて宙を舞う

 

つるりとした心臓

 

蛹のまま、溶けて消えてを繰り返して

そこにいた筈のちいさなほとぼりが

ゆっくり消えてしまうまでを

ぼんやりと眺めることしかできなかった

 

泣いている小さなわたしに

まだ泣いてるよと伝えたい

 

名を知らない鳥が鳴く昼過ぎの寝床

固まった骨を砕いてばら撒いてみて

秘密がある私を好きにならないでね

首の後ろに感じる君の悪意の香りも

厭な予感がする程愛せてしまうから

 

 

2023年晩春

 

殺し屋のような目付きで歌うその瞼に

ひとつ、星を乗っける

 

じゃんけんをしよう私が負けるまで

負けたら全部君にあげるよ

 

今はもう昔の話

特別な生命を刺して殺した夜明け

 

石ころを蹴飛ばす笑顔の温さにも

厭な気配がある通学路

 

大好きなあなたに会いに行きたくて

地獄の果てまで迎えに行ける

 

 

 

短歌劣箋

2016/01/10 03:58    悲しいと泣く君のとなりで今日もかわいいだけのパンダの笑顔
2016/01/10 04:04    バイバイとさよなら 渡した封筒ときみとの糸を 解く電車と    
2016/01/24 03:54    新しく買った手帳に書きかけた記念日 あの日の私を褒める     
2016/01/24 04:20    夜更かしで流したラジオ 4時台のサカナクションを聴いて泣く夢    
2016/01/24 04:22    あたたかい 布団はいつも私だけ 包んでくれる 何も言わない    
2016/02/01 01:23    突き刺さり 沁み行く氷に手を合わせ 溶けていくのを眺めて眺めて    
2016/02/01 01:29    世界が私のために回っていないと 知る事ばかり また朝が来る 
2016/02/01 01:30    火星ならきっと僕でもしあわせに過ごせるなんて 思ってみたり
2016/02/01 02:07    水色をまた水で薄めたような
そんな春なら ぼくが生きてた
2016/02/01 02:12    iphoneのホームボタンが壊れない程度にのんびり生きてゆきたい    
2016/02/01 02:18    自転車を二人乗りする帰り道
そんな春など知らぬまま過ぐ    
2016/02/01 18:36    ヴァセリンのほんのり甘いメンソール バニラみたいなタバコの煙    
2016/02/01 19:04    才能がある振りをして
才能を分かったような素振りで魅せて    
2016/02/01 22:56    あまりにも空が綺麗なものだから言葉にしようとおもうのだけど
2016/02/02 00:38    届かない 見つめる金魚と青色の 揺蕩う半月 満ちない水面    
2016/02/02 01:11    古ぼけた夢の中では憧れの絵画となって君と出会うの   
2016/02/02 18:09    前髪を少し切りすぎたようで
見える世界が明るかったり    
2016/02/03 00:01    失くすのに怯えているのが二人なら私は一人で生きたかったな    
2016/02/04 03:09    眠れない夜の帳にしがみつく
枕のにおいに救われている    
2016/02/26 01:10    夜の暗さに溶けていなくなりたい私には少し朝は苦しい    
2016/02/26 02:20    人間は世界の重さに耐えられるような造りになっていないの    
2016/03/05 02:50    B1の生温い風と薄暗い
蛍光灯の支配する国    
2016/03/10 23:07    僕の最後の日が地球最後の日だと思えば楽に死ねそうだ    
2016/03/14 02:05    さようなら愛した校舎と教室の睡魔と恋するひしゃげたノート    
2016/04/27 17:39    何番線かわからず死ねず帰り道青いホームと流れる線路    
2016/05/31 00:59    騙されちゃ、いけない
君は音の波息のしにくい夜の東京    
2016/06/18 01:41    海岸を行けども行けども波が突く沈んだ夜のあなたは死んだ    
2016/06/23 17:38    雨上がり静かな街のその角で
静かに啜る紅茶の味と    
2016/06/29 09:58    先生の苛立ちつのる水曜日
のんびり眺める穏やかな朝    
2016/07/01 18:48    追いかける 君の夕暮れ 蝋燭の 蕩けた部分の 陰に隠れて    
2016/07/03 01:09    さよならはとっくに忘れたあの声で 未練など無いただ憎いだけ    
2016/07/03 01:30    犯人は? 自殺でしょうね そうでしょう 後手鈍器を 背に隠したまま    
2016/07/03 20:58    劣等感 しっとり嫉妬 しとしととなにも見えない 見えなくもない    
2016/08/03 21:52    幸せになりたい君は地下室の
ソファの上で沈んで寝てる   
2016/08/16 00:20    君のその青くて白い心臓に繋がるガラス管の匂いが
2016/08/17 01:41    誕生石がサファイアじゃないということを知ってしまったあの日の僕に    
2016/08/17 01:46    どうでもいいどうでもいいよと言いながら関わりのないパンジーが咲いてる    
2016/08/19 22:34    しゅんわりと落ちた火薬と火の匂い今日の夜への花と手向けて    
2016/08/19 22:39    火遊びにチリチリ燃えた内側に煙草の香りじゃ夏は終わらず    
2016/08/20 02:38    紫のカプセルホテルに閉じこもり青色の魚の夢をみる    
2016/08/25 01:38    牛乳の 喉に残った甘さだけ
消えてくれないコップが白い    
2016/08/25 01:42    ちょっとだけ 話して ちいさな君の嘘(タルトタタンチーズケーキマカロン)    
2016/08/28 01:45    窓枠に反射する波 光苔
蛍烏賊は今朝死んでしまった    
2016/08/28 03:10    貝殻の間に刺さった転寝と枕の綿じゃ海は聴こえず    
2016/09/08 23:26    もしもしこちら白鯨の背中より  (埃のたまったベッドの隅にて)    
2016/09/10 22:44    ミルクティー 沿線辿る角砂糖
死ぬことに疲れたから寝よう    
2016/09/11 01:13    アルバムの隅から落ちた元彼の写真が嫌で星を見ている    
2016/10/05 13:50    午前二時 君が待ちます夢の中 
帰らぬ人かと猫の鳴く頃    
2016/10/09 02:20    「調子はどうです?」窓枠の隅に飾った家守がこちらを見ている     
2016/10/16 01:04    わからない何かが、何個か足りなくて缶詰のコーンぼろぼろ落とす    
2016/10/22 00:15    液体の洗剤のにおいがきらいで洗面台の目頭を裂く    
2016/10/25 23:08    初秋の湯船に浸かる 貴方には見せられなかった薔薇のバスボム    
2016/11/06 23:08    突然世界の全てから取り残されたような 空白 夜 部屋    
2016/11/14 17:43    さみしさの 電話が響く 一人部屋  解れてしまった テディベアの糸    
2016/11/19 18:21    何よりも 無意味なことは あなたがわたしを救おうとしてくれる言葉    
2016/11/20 00:23    夜中の空 の真黒と 溶け合った私の背中に浸透する闇    
2016/11/24 23:37    目が悪くなってしまったわたしにも綺麗に見えた星の瞬き    
2016/11/26 22:14    マニキュアの赤の匂いが浮いている暗闇に添寝している彼女    
2016/12/09 00:03    蠍座に生まれたんだから蠍みたいな女の子になりたかったわ    
2016/12/14 00:46    死後3秒の世界で待ってるレモネード 炭酸水に溶けていく音
2016/12/15 00:45    夕景の影に映った網膜の傷跡
すこし、鯨に似ている    
2016/12/16 16:32    純情の白ソックスを脱ぎ捨てる 君はまだここに来ないでほしい    
2016/12/17 22:52    沈み込む お香の煙の侵略が
なんだかとっても知ってる気がする    
2016/12/19 00:16    「死んでやる」死なない程度に息巻いて一眠りして 明日も元気に
2016/12/19 13:16    生きていくうえでとぼけるということが多少なりとも必要なのかも    
2016/12/20 00:43    会いたいと言えるほどではまだなくて 本心こっそり後ろ手に、夜    
2016/12/20 01:01    殺すぞと呟く 一人遊覧船
セーターの袖ほつれたままで    
2016/12/20 22:12    イチジクの干した面影
心臓のそれに似てるね齧って捨てた    
2016/12/21 19:39    願い事 1つだけならと言うのならやっぱりちょっと 鼻高くして  
2016/12/22 08:04    「世界が終焉にむかって歩んでる」わかるよなんか そんな感じだ    
2016/12/24 01:07    サンタさん来ないとわかっているけれどちょっとだけ電話待ってみている    
2016/12/28 01:28    境界線 きっちり引いて区別する 立ち入り禁止の札の圧迫    
2016/12/28 01:33    大好きなマシュマロ頬張る
テディベアのリボンを結ぶ 全部誤魔化す    
2016/12/28 09:39    グーグルで検索して出てくるようなデートスポットじゃ貴方を捕れない    
2016/12/30 01:32    手探りで探すにはあまりにも柔らかすぎるので触れないでおく    
2017/01/04 12:22    中指に付いた蛍光色の青
滲む宇宙の残り香何処    
2017/01/04 12:27    初雪が降っても振らなくてもいい君とデートをしたい理由は    
2017/01/06 02:15    心中の心中いかがお過ごしか 
君の心が見えないから死ね    
2017/01/06 02:17    迷って迷って迷って迷ってる
迷った先が何かは知らん    
2017/01/06 02:22    未来の退廃的な情景を想って焦がれているとこです僕    
2017/01/08 00:49    期待しない、想像しない、寄り添わない 自己防衛の 以上3点    
2017/01/13 01:34    蝋燭の灯りが燈す木目まで
指でなぞってゆけたらいいね
2017/01/14 01:27    高架線真下で揺れた 
蜃気楼 きみのいのちに似た冬の色    
2017/01/18 13:14     ウォーアイニーまた会いましょうという声が鴉に似ている午前四時半
2017/01/21 23:15    記憶のノートを上書いた 
君のそのタバコの匂いと 絡む煙と    
2017/01/22 01:53    君の髪 サラサラ揺れる風の中 
纏わる空気の幸せなこと
2017/01/22 16:10    夕暮れの列車に惑う指先に
照らす小指が 微かに揺れる    
2017/01/29 18:51    ベンゼンの香り葬る明け方に
君はいづこと咲く朝顔が    
2017/02/03 00:57    漂白剤飲んで死んだら真っ白な綺麗な子になってさよなら、できる?    
2017/02/04 15:42    爪先の色に隠したぼくの熱 
水銀みたいな金属の味    
2017/02/06 20:10    偶数と奇数のあいだのロマンスを 疾るあなたがいそがしくゆく    
2017/02/11 21:54    きっとまたすぐ死にたいと思うのだそれでもぜったい忘れない冬   
2017/02/20 23:32    窓の外で何かが叫ぶ 軋む桟の耐え凌ぐ夜風が嘆く    
2017/02/20 23:35    吹き荒ぶ夜風の別れ この部屋は取り残された檻みたいだね
2017/03/01 19:30    静観とした残虐の曇り空 
机の上に忘れたピアス    
2017/03/01 19:35    制服とスカートだけで青春を
語ってゆくのが難しくある    
2017/03/02 19:52    夜闇の息が真白く映るので 
まるで君の煙草を見ている    
2017/03/04 22:24    スプレーの落描きの壁をなぞって 火星にいった ぼくの犬へと    
2017/03/09 00:48    暮れる6時半ぼくらは、無能の愛を抱えて壁に沿っている    
2017/03/09 01:22    旅立ちに贈る言葉のひとつとして苺の緑を齧るあなたへ    
2017/03/20 01:00    鮫肌の銀の鱗の落ちるほど悲しいことはまだ、他にある    
2017/03/20 01:08    真夜中のカーテンひらいてみてみれば魔法のかかった鳥に恋知る    
2017/06/07 07:59    白い鳩黒い烏の尾を結ぶ 
針を刺したような腹の痛み    
2017/06/27 23:28    あしたまた、やってくる 冷凍庫のアイスをおもう 昼過ぎのバスで    
2017/07/10 21:35    電灯が蒸し出す暮れの憂いより蠢く床の白い斑点    
2017/07/10 21:48    紺色に浮かぶ橙 幾つかの 
飢えた匂いに迫る風流    
2017/08/08 18:15    夕暮れの入り口 蓋を開けた 
サイダーの炭酸 弾ける音が    
2017/08/08 23:00    「桃を切るその断面が月に似ているよう」なんて夜の白さよ    
2017/08/25 12:26    銀色の点滴、洗い立ての花
「そうしてあなたは去ってゆきます」    
2017/08/29 01:56    マッチ擦る夜の公園
落ちた葉と少し足りない昔の手紙    
2017/08/30 18:28    死ぬことを純と捉えて
携帯のメモ帳に舞う絶望と愛    
2017/10/24 01:38    円柱を墓標と見立てて今朝は今 肥えた仔猫の花葬と参る    
2017/10/26 01:35    尽きる命のように降る儚さを 
空に見つめて流星と会う    
2017/10/29 01:56    8本の電線 五線譜 鳥の家 詰まる雨樋 眠るうつつよ    
2017/12/14 02:14    紺壁の雨戸に凭れる君がいて
折れたノートと制服は無い     
2017/12/14 02:21    無いことが幸か不幸か知れないが 明日の朝は終焉であれ    
2017/12/20 02:14    ささくれに爪を這わせてゆく君を見つめて舌を噛み切る惨め    
2017/12/27 01:32    前世では僕と恋仲だったはずの赤い花を、噛み切る八重歯    
2018/01/17 20:39    真っ白に牛乳こぼした
戸棚から欠けた茶碗がくすくす笑う    
2018/01/20 01:21    青痣の映る目頭撫で上げて
真白い壁に摺り寄せる頬    
2018/02/22 00:46    恋と愛という言葉が有る此処に 君と僕がいるということなど
2018/03/04 02:19    君のためならぼくは君のゴーストライターにだってなれたのに     
2018/03/14 01:45    枕辺に置去り 水の透明は形も消えて流れ行く音    
2018/03/14 09:31    グッドバイロングバケーションいつの日かまた会う日までどうか元気で    
2018/03/27 11:39    ぷつぷつと抜けた髪の毛貼り付けてホワイトボードに蔦張る悪意     
2018/04/16 01:21    春の嵐の吹く方にゆく意識
あなたにきっと 穏やかな夜        
2018/04/17 00:33    「知らぬ振りをすることも愛である」「愛であるかはそいつ次第だ」     
2018/04/19 22:26    合間見て 相見て 愛を喘いたら i hate you が 頭に浮かぶ    
2018/04/22 01:52    ‪忘れてもいいよあなたが忘れても私が全部、覚えているよ     
2018/06/02 01:37    飛び散った硝子の破片で指を切ることがあなたに起きないように    
2018/06/15 01:56    一握りの鉱石を額に置いて横たわる貴方は夢想    
2018/06/18 02:13    「終わるからいつもの道を避けて行こう」遠くで鳴った花火が嫌い    
2018/06/18 15:02    ‪許せない自分を許して欲しいだけ‬‪砂に塗れた足を濡らして ‬    
2018/08/01 02:37    夏過ぎて君は来ないし
終電を逃した僕が惨めな昨日    
2018/08/09 20:39    灰皿に溜まった雨の溢れ出すことを眺める 傘も差さずに‬    
2018/09/08 03:03    沖にいる君を救命ボートにて迎えど珊瑚の墓標と出会う    
2019/01/07 23:31     煌めく爪の先にある3センチの刃を向けて煮える涙よ     
2019/01/13 20:03     点線を切り取るように流れてく日捲り仕様の白い生活     
2019/01/14 12:50     思い出をぜんぶは壁に貼れなくて簡易ファイルで眠るたましい     
2019/12/11 02:35    私にはわからないその睫毛にはどうして星が瞬いている     
2019/12/11 02:41    ああわたし何も知らない
あなたには何色の血が流れているの    
2019/12/12 00:54    土星の輪の溝に針先落としたら 流れる曲はワルツで 君と    
2019/12/29 01:58     頬を突く氷混じりの夜風には欠伸で濡れた睫毛がひかる     
2019/12/29 02:01    母親に読まれた絵本にいた「ぼく」にいつか失くしたものを預けて    
2020/04/13 23:26     性格の悪い私は君の住む街を新しい恋人と往く     
2020/07/05 01:24    青痣を撫でる指先踊る様 夢のような勘違いの果てに    
2022/05/07 02:06     手のひらに何もなくってどろどろのぼくが溢れる夕立の雨     
2022/05/07 13:42     カーテンの隙間から来る幽霊のことを忘れた哀しき君よ     
2022/05/08 12:16    右腕の柔いところにキスをする 誓いみたいな顔した約束    

孤児の子守唄は

 

日常というのは奇跡の連続なのだということを改めて知ることになる

 

星が綺麗だと君に言えなかった今日の夜に

別れを告げることすら出来ずに

蕩けた夢へ迷い込む

 

異常なほど暖かくて気持ちが悪くて

そういう温度を覚えてしまっていて

いつの日か

可哀想になってしまった自分に出会うことが

いつかの留守番のように恐ろしい

 

子供騙しの飯事に付き合ってほしい

君が僕を忘れるまで

それまでは

大人でいると約束するから