エフェメラの胎動

おまじない

tumbling,ing

 

足の底から冷えていく

虫の死に際の羽音が

火花のように季節を終わらせる

朝と夜に凭れ続けて

真昼を知らなくなっていく

氷の入った水を飲み干していくとき

透き通った管が身体を巡ることを知る

小さな氷塊が溶け出していて

朝焼けの湖の水面の煌めきを

まるでまるごと掬い取っている

なんでもない僕の言葉が

端から溶けて消えていく

割れた記憶の端を繋ぎ合わせて

ひとつの短編集をつくる

美しいのはそれだけで

僕は酷く醜悪だった