エフェメラの胎動

おまじない

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

餞別

君に唄を書いた 誰も知らない 誰も知らない唄を きっとみんな知らない 机の上に書き置いた一枚の便箋に 一行の詩と 三行の懺悔と たった四文字のまぎれもない言葉を 君のために残したことを 忘れて仕舞えばいい そのまま忘れて仕舞えばいい 君も知らない き…

キラキラ

好きな人が好きだった人はきらい 好きな人が嫌いな人も多分きらいで 好きな人が好きな人ももしかしたら、きらい

等式

宇宙についてかんがえながら 目覚ましを止めている 宇宙についてかんがえながら 顔を洗っている 宇宙についてかんがえながら カップラーメンを食べている 宇宙についてかんがえながら 時計を見ている 宇宙についてかんがえながら 食器を洗っている 宇宙につ…

かなしくなっちゃいけないから 目を見開く 乾いた眼球になんだか悪そうな雨粒が ダイブする 曇ったレンズ越しの 飛行機の音 飲み込んだホチキスの針は 魚の骨と変わりない 刺さる蛍光灯が痛い 痛い

ダイブ

スカート丈 2cm 詰めたら 飛ぶよ

不和

好きというきもちに 恋心と名付けた人を 殴りたい

ログイン(ROM専)

なんだかどうでもいいはずのことに時間をかけて そんなにきもちいいわけでもなくて ただただ秒針がゆれるのを眺めている 病身単身で心身不在のこの駅から24分の小宇宙は 飾り気の無い意義の無い生を全うするためだけに在る 異議はあるんですけどね(笑)って言…

酸化

なんだか久しぶりに恋をしたかのような赤い頬の君は 冷めきった湯船に顔を埋めて波紋を読んでいる 火照った指先の血の色を口に含んで 鉄の味を思い出すんだ 換気扇の騒々しい音が 子守唄なのでねむたくなってくる このまま目を 覚まさなければ 明日はきっと …

シンスイという言葉における

表紙の折れた漫画雑誌を海に浸してみるんだ 泣いた君のえくぼが小さな海になっているんだ 淡水魚が海に憧れている なぜだか知っているかい 青い水がどこから湧くのか ぼくだけがしっている つまさきの色が水面に感染る 少しだけどあからんだ下くちびる そこ…

ノルアドレナリン

スプーンの先にこびりついたものをながめてる そこにぼくがいる そのなかにきみがいたりする だいたい右手のなかゆびの第二関節くらいまでのぬるぬるしたようなさらさらしたようなものがきみ きのう落としちゃったたまごがキッチンで泣いてる 殻が混じっちゃ…

雨が降っている 遠くの空で降っている 遠くの空ってどんな空だ 君の知らない空だよ よーく耳を澄ますとね 聞こえるんだ アスファルトの濡れたにおいが鼻に付くだろ そうすると水溜りがゆれるんだ ゆれるとどうなるんだ どうもしない ただもう半分が見えるん…