エフェメラの胎動

おまじない

ブリリアント・ブラー

 

一体どんな御伽話を書き上げたとしても

書いた人物を知る人が読めばそれはもう

万全のフィクションではなくなってしまう

そんな恐ろしいことが赦されている

一体いくつの無駄な段落が葬られてきただろう

僕の言葉は僕の願いではない

僕はいつも嘘の話をしている

純正の与太話、負け損いの書物

腫れ上った指の青い方の糸を

読みかけの栞にするから抜いて欲しい

先が綻びた弱い紐を整える仕草にしか

発現しない祈りがあると思っていた

傷のついた書物の表紙を撫でていて

たまにこちらを見遣る僕がいる

紙に文字を書くと本になるんだ

お前は知らないだろうけど