エフェメラの胎動

おまじない

灰青の空僕が燃す煤煙

 


僕の心は僕から見える少し遠い場所にある
そこまで歩いて、捲り上げて中を覗いてみる
ゆっくり、ひとつずつ拾い上げて
これじゃない、それでもないとひとつずつ
元の場所に戻していく
形のないもの 色のないもの
見えないもの 光らないもの
たくさんの塊がそこかしこに散らばっている
時々、今日探していたものが急に見つかる
でも光は溶けていて、もう虹にもなれない
墓標を立てて歩いていく
古い思い出をひとつずつ燃やしていく
燃やしたものの灰が足元で蠢いている
何を燃した灰か、もうわからないから
記録だけが残っていく
遥か彼方遠くの空には
誰かの虹が輝いている
僕は此処に墓標を立てていく