エフェメラの胎動

おまじない

ハインリヒ・ハイネ・クライネ

 

 

日々が過ぎゆくことを風と称して

時が過ぎゆくことを川と称した

痛みを抱えて日々は輝くと宣った

艶とした綺麗な肌に傷がない

愚か者よ、愚か者が

 

幼子の歩く音

微睡を啄む鳥の声

全てに堪えかねている

手入れされない庭の重さ

全てに堪えかねていて

愚か者が、こちらへ歩み来る

 

ぼくと違ういのちが

ぼくを責め立てていて

二分されたたましいの片割れが

風船みたいに飛んでいった

怖い風の音が遠くの国で鳴っていて…