エフェメラの胎動

おまじない

シュガレット

 

 

 

 


ぼくが一遍の詩を書いても

君は読んではくれない

君はあたまがいいから

詩なんか読まない

 


瑞々しいつぼみや

雲のかたちや

甘い土のかおりにも

振り向いてはくれない

 


ぼくがうたうとき

ぼくだけが

ぼくのいのちの承認者である

 


ぼくが今夜ねむるとき

今朝のつぼみは花を咲かせる

 


忘れてなんかいないのに

知らないみたいな顔をする

つうんとした鼻筋を見ると

目の奥が蠢くんだ

 


静かに粟立つ波の奥に

きみを突き落として

うたいながら散歩しよう

死んだきみの星座を作ろう

 

 


ぼくが今夜ねむるときは

いっとう輝く星たちが

君の懺悔を赦すだろう