2020-09-23 ■ 閉じた本の栞が飛び出す夜は機嫌が悪い 折り畳まれたハンカチには染みが付いていた 折れた秒針に合わせて息をする 朝靄をゆっくり溶かす 窓の結露を拭くけれど 汚れた瞼がうまく開かないのだ 半紙が濡れて蕩けるように 明日の新郎のネクタイのように コーヒーに注いだミルクのように キャンディボトルの蓋のように 重たい鐘が吠えるように 限りないただしさを 遠くから掻き集めて 子のように抱いた腹