大事にしていた傷跡すらもうあまり見えていないのかもしれない
それでも久し振りに眺めた星空には忘却の彼方に飛んで行っていた大切な心みたいなものをまた取り戻した感覚があったりなんかして
唐突に向かった海は生まれて初めて見たような気持ちになったりした
私は思ったよりそんなに変わっていないのだろう
縫い合わせの傷は治らず新しい傷で覆われていく
夜鳴りと霧のような地響き
黒い空は私を救いもするし殺しもする
ひとりの、わたし、になりたいから、
誰かと居たい
そんな我儘すら溶けて消える
儚さよりも大切なものがあった
弱さよりも守るものがあった
涙よりも必要なものがあった