エフェメラの胎動

おまじない

晩夏回想

 

夏空に向けて蝉の羽掲げれば

透き通る雲に窓辺が視える

 

鉄板の如き地面に垂れ落ちる

自意識割れて火花が落ちて

 

束の間の涼しげ

余った素麺の破片が出てくる彼岸のキッチン

 

進め夏、破滅を瞼に貼り付けて

犬死を待つような寝姿

 

白波を泳ぐ鴎の群衆よ

戻りゆく波は何処かの岸へ

 

過ぎ去った暦を捲る白い手の晩夏回想

二度と会わない