寝てないよ涅槃だよ

おまじないと詩歌とメモ切れ

飲み込まれているとして君は猛獣のつもり

楽しそうな顔で歩く 嬉しそうな声で笑う 愉快や愉快 馬鹿みたい 嫌いな嫌いを睨みつけ 食い下がる蛇 棚に上げて泣く 後ろ手に絶望して 終わりのついでに始めている 死ぬついで 死なないで 愉快や愉快 不快です

メンソレータム

買った本を読まなかった日があった ママのご飯を食べなかった日があった 虫刺されをそのままにした日 ペットボトルを開け放しにした日 充電の切れた端末を カーテンを 洗濯を 過ぎていくだけ 遊園地の帰り道に見た高速道路 電灯の残影 乾いた口で 指をなぞる

週間2001年

いつでもおにいさんが言った おにいさんが言った 問題ないと書け 大丈夫だと打ち込め 俺は何を見ているんだろうか 見ていない なにも考えちゃいない 考えるってなんだ 伝えようとしていることは 自己でなく他でいた 羅列伝えたかったはずのものというのは 対…

叫べ少女の居ぬ床に

心身恋慕と嘆きつつ 所謂憂いを拭えずに 頸に付着た光苔 あれよあれよと言うままに あれやこれやと言う鳥を 鳴いて殺した夏初め 切って揃えた睫毛へと

額は接触

鼻先0.5cm先の壁と対峙する

カーテンを洗うことはなかなかに

ここから2年と4ヶ月16日 プラス1時間 1秒 2秒 3秒 ここにいる僕は6秒間 そしてその後の合計される10秒間 レントゲンとスコープ レンズの透過性を問う 懐中電灯 屈折の伸縮性を問う 確かめる 正面 十二分であることはいつでも真後ろ 白いレースのカーテンのべ…

速度と体温

忘れた指輪 足りない中指に 蛍光ペンで線を引く 終電前の電車は 穏やかな顔をした乗客 疲れた目 組んだ左脚の爪先が空を切るその先の 急ぐ座標 鉄の塊 座る私

相反する裏表紙切れ一枚分

ついていってもいいですか 消えそうなので ついていってもいいですか 白いので ついていってもいいですか 折れそうなので ついていってもいいですか 「放っておけない」「放っておかれたくない」 どちらでも

捨ててもよいもの

捨ててもよいもの ボールペン ペットボトル 卒業アルバム 灰 布団 写真 プリクラ帳 ノート 古い洋服 全部捨ててもよいもの 昔 以前 この前 過去 存在したことがなくならない物 なくならない物

無題

一軒の空き家 詰め替えのシャンプー 汗をかくコンクリート 叩く足音 明日は多分晴れるから よく眠っていい 7月の熱が 目の黒いとこに移り込むから 「もう忘れたよ」 だからさあ、爪を塗ろう 何かを埋めるよう 気づかなくていい それは美しい だからさあ、水…

湿度

雨の降る薄暗い日は、蛍光緑の傘が必要だ 快速電車 曇るガラスを撫で付ける 網膜、少し離れて窓 迷子のないように

またね

お兄さんが死んだ 死んだよ 連絡が来たのは2日後だった お兄さんがいるというところへ来たけど お兄さんはどこにもいないし お兄さんが足の下にいるとか言われたって私にとってのお兄さんはお兄さんであってお兄さんのひらがなで、お兄さんの目ん玉の黒いと…

忘却を思い出すことの意味が君にあることを握りしめている

薄暗く光る部屋の 布団の隅にチラリと見える 爪の先のあの反射する一ミリ ペット禁止 猫の声 ああ猫がないてる 旧友 いかがおすごしか 僕はもう 君の顔が思い出せない

予定

食事を済ませた 家から歩いて17分の ギフトショップに行った ひとつ蝋燭と メッセージカードを買った 机の上に広げて ペンを持ってみる 驚くほどなにも書くことがない わかっていた それをわかってはいた僕はわかっていましたよというつもりのシーリングをカ…

揺り籠

透明の中に青が入り込むように 睫毛の隙間に冷えた雨のにおいがうつるように 曇硝子に爪で書いた 意味のないおまじないと 汗ばむ首をかんがえて 知らないを埋める駅の雑踏に 揺り籠

色彩環

‪白と黒が いちばんの鮮やかです‬

タイトル未定

‪たまに、極々たまに、この人はいつかの昔にわたくしと同じ個体、あるいは同じ個体の一部、別々の部分でもよいのですが、そういった「同じ」を共有していたものではないのかなと そう思うときがあります そういうときは この人の目ん玉、耳、手の先人差し指…

チクチク

時計の箱の中 時限爆弾 チクタク 縫針の跳んだミシン 今現在 12時14分____秒 滞りなく留まれない 12時14分が 12時15分になるから だからいけないんだよ

ねえそうね

ねえ、きみにわたくしの頭ん中がわかりますかい わかっていただけるのですか どうやらわたくしには到底扱えない代物なようでして、もう十数年間の付き合いですが、一度たりともなんというかこう隣を歩けたことがないような気がしまして わたくしにも何がなん…

ホコリ

いっつもなにかしら引っ張ってきてはやれ悲しいさあさびしいって言って本棚の背表紙に頬を引っ付けてああ冷たいなんて言ってねえ、部屋の銀色を探して探して触れてああ冷たいなんて言って、ねえ それでも窓は開かないんよ ねえ

二枚重ねの一枚

ありがちな煙草に好きな人を重ねた詩歌 簡単にセンチメンタルになりたくて つい夜中にベランダ コーラで酔える単純な身体で 蒸すだけだった煙草が吸えるようになった 夜は広いよ 夜も簡単な感性だね 紙みたいだよ あたし

エロいね

メロンクリームソーダをよく注文するんだ やっすいさくらんぼの浮いたメロンクリームソーダ みどりいろ みどりいろはなんのいろ 乱暴な色をしている 生きることと死ぬことの どちらがどっちの色 紙ナフキンに落ちたミルクの泡が まるで みたいに 白くて なん…

ペンダントとブーケ

お兄さんがお兄さんが書いたなにかしらの 文字達を削除した すきだったの特に理由はないけどすきだったの ため息をついたお兄さんは指一本でそれを消した 削除した デリート エスケープ バックスペース 違くてやはり削除といった わたしはノートを開いてペン…

パン

美しく書き始めたの新しいノート 古ぼけた下敷き使って でも 先生はまったくチョーク触らないし うしろのだれかの寝息うるさい チャイムでリセット今日の講義 おなかすいたのトンネルくぐって

目眩

近くて見えないもの 眼鏡の縁の青色 冷えた鼻先 眉毛の上のにきび そんなもの そんなような 近くて近くて見えないもの

pull

なんていうんだろうな 朝からジュースの缶、おとして なんかあの指、引っ掛けてぷしゅってするとこ あそこが取れちゃってさ 飲めないでやんの そんでなにがあれってさ なんか面白くなっちゃって 真顔で笑って まだ冷蔵庫に入れてある どうしたらいいかわかん…

彷徨い名の先

いつかひとりの猫と暮らすことになったらけむりと名付けようと思っていた しかし‪猫はきっと 自らの名を決めているのだろうと思うと それを教えてほしくてわたしは泣くことしかできない 猫はわたしをなんと名付けているのだろう‬ 呼んでくれよ 呼んで

かおりさん

チクタク時計 郵便番号 ポストにストンと届いた君の 細いひらがな いつもの匂いの 便箋燃やして 立ちゆく煙

一点

つめきり カッターの刃の1mm はさみの二枚 交差する1mm コンタクトレンズの透明 ふやけるほど 境目のない 1mm

kitchen

コンロではなく電子レンジである 換気扇 あるいは鍵のない窓である 賞味期限 ピンク色の羊水 キッチン ママ 台所 台所はママである あるいは