エフェメラの胎動

おまじない

エイリアン

 

 

本を読むこと 音楽 文字を書くこと バイト 学ぶこと 食すこと

 

なんだったろうか 猫の声を聞け 冷蔵庫の卵を数えるにはまだ早い

 

18:47 イヤホンを失くして久しぶりに使うヘッドホンと英語学習の身に入らなさ身に染みる もうすぐ雨が降る

 

「私たちはエイリアン」名付けられた未確認物体 さあ定義して提唱して定款して 

平和を願うならばすべてに死を望もうか 青い表紙のノートが泣いている

 

空いた缶詰の中に残るものは何だったろうか

愛と呼ぶにはまだ早い 多分早い

 

焼けた夏の肌にはなにが埋められているだろうか

気づけば消える きっと消えていく

 

電波をなぞれ 座標軸は目前である

 

 

 

カマキリ

 

 

 

夏の夕暮れ生ぬるい風に 思い出す 思い出せないことを


0時を過ぎればまた 変わらない昨日


置き放し割れたグラス 漏れ出す 真っ青な約束

 

そんなのぜんぶ どうでもよかった

 

 

 

 

 

 

10畳の水槽 魚

 

 

 夜なんて簡単に酔える

大きな黒い幕を吸い込んで すこしの氷を齧ればいい

簡単だ 午前一時は簡単な悲しみだ

毎晩を吸い込んで 身体に回る黒を舐めつければいい 苦いのは自分のこと

古くなったラジオ 下手くそな異国語を瞳の後ろ側に通している 

 

 

 

 

 

気がつくとそこは庭だった

 

 

帰り道、途端に歩けなくなることがあるのです 自動販売機の薄汚れた電気を浴びた蛾がじいとしています 蛾は蝶であり 蝶は蛾ではないのです 火花の音を思い出します 曇った夜には意味のない行為ではありますがふうと息を吐く 途端に歩けなくなることがあります コンクリートは蠢くだけなのです

肌の先1ミリメートルを泳ぐ薄ら温いものは空気でも夜でもなく

ただのわたくしの 汚さなのだ