エフェメラの胎動

おまじない

気がつくとそこは庭だった

 

 

帰り道、途端に歩けなくなることがあるのです 自動販売機の薄汚れた電気を浴びた蛾がじいとしています 蛾は蝶であり 蝶は蛾ではないのです 火花の音を思い出します 曇った夜には意味のない行為ではありますがふうと息を吐く 途端に歩けなくなることがあります コンクリートは蠢くだけなのです

肌の先1ミリメートルを泳ぐ薄ら温いものは空気でも夜でもなく

ただのわたくしの 汚さなのだ