エフェメラの胎動

おまじない

ウルメール・ミュンスターの花瓶より

 

 

 

彼女は泣いておりました

 

母が悲しいお話をするので

 

いくつも夢をみましたが

 

幾千の星には届きませんでした

 

 

 

彼女は泣いておりました

 

雨にふやけてしまった本を暖炉に翳しながら

 

猫は振り向かず歩きます

 

ひとりで居たいのです

 

 

 

彼女は泣いておりました

 

ラブレターを書きました

 

何処か遠く美しい場所

 

知らない誰かを愛するために

 

 

 

彼女は星になりました

 

月にいる彼の愛しい花を

 

一目見るために