エフェメラの胎動

おまじない

また、夏が来るよ

 

 

 

どうでもよかったはずの夕暮れ

笑って手を振る

何故、と言えなかった 

焼け落ちた空には海が近い

忘れるはずだった 忘れたかった

遥か彼方まで遠く続く白い雲に

もう覚えていない記憶を呼び起こして

写真には残っていない

青い制服のベルトを折り上げている

忘れたかった 忘れていなかった

安いアイス 

溶ける体温

 

どうでもよかった夕暮れ

青と橙だけがずっと 

瞼に焼き付いている