エフェメラの胎動

おまじない

珈琲館

 

ちいさいモールのちいさい喫茶店にいるちいさい貴方を見た 髪はボサボサ目は虚ろで赤い爪はガサガサに剥げていた なんという醜さだ 所詮は全て人間なのだ 私は貴方を白い花の刺さった鞄で叩きつけた 飛び散る 飛び散った ごろんと転がる貴方じゃなくなったそれを左脚で奥へ追いやりその椅子に神様みたいに座った 緑色の液体のその中の透明な氷は 凍った緑に塗れて汚くなっている 小さく笑う小さな頭に何があってラムネ瓶はコロンと反射するのだ 神様は私を見ちゃいないが、そうして誰のことも見ちゃいない いいじゃないか 美しいじゃないか 緑と赤は生と死で、青い透明がその真ん中だ そう言った昔の貴方は元気にしていますか 煙と痰を吐き出した 小さな椅子がカタカタと笑っている