エフェメラの胎動

おまじない

餞別

君に唄を書いた 誰も知らない 誰も知らない唄を

きっとみんな知らない

机の上に書き置いた一枚の便箋に

一行の詩と

三行の懺悔と

たった四文字のまぎれもない言葉を

君のために残したことを

忘れて仕舞えばいい そのまま忘れて仕舞えばいい

君も知らない きっと知らないままだ

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ある朝に 机の引き出しの奥から

くしゃくしゃになってしまった宛名のない封筒が

きっとおはよと咲くだろう

その頃にはもう 親指の火傷も 忘れたように綺麗なままに