エフェメラの胎動

おまじない

♡Aだけのトランプ箱

赤い彼女は、マークジェイコブスの鞄を被っている 透明な約束 小さな冷蔵庫に、白桃のゼリーだけが入っていた 溜まっていく無料のスプーン 指輪入れのワイングラス リボンを折りたたむ時だけ レースを結ぶときだけ 少女になれた 割れた香水瓶を 灰皿にして

必要事項

⑴ 消音 ⑵ ふた口分の水 ⑶ 想像の想像 ⑷ 花 ⑸ 冷えた窓 ⑹ 昨日の夢 (覚えていなくてもよい) ⑺ 爪 ⑻ 電灯 ⑼ ベッドとカーテンの隙間 ⑽ 白い画用紙

小さい頃ママに付いていったスーパーの海鮮売り場が嫌いだった

まるいちきゅう マルイの地下の 生鮮食品売り場にある 魚の丸い目 焦がれていたのでしょうか 見つめて動けずにいた 冷えた鼻先 匂う終わりに

墓地@郵便局

こんばんは。 なんだかついこの間まで暖かかったのに 途端に冷えた風が吹くようになります。 そちらはいかがですか? この前は、電車に乗っていたら窓に小さな犬が二匹 空が真っ白でいい天気ですね 牛乳は好きですか?僕は好きです。 この前コップを落として…

読み込みを待つほどの

プラズマ 光る 1 深海だと仮定してみよう 浮かぶデスクトップの青 回る 回る 犬 液晶 反射する01秒

‪なんだか今夜は明るかった。 眼鏡を失くしてよく見えない目に、薄っすらと輝いているぼやけた星が、なんだかさみしくてちょっとだけ胸がきゅうとなった。 なんだかいつか、空一面にきらきらとひろがる綺麗なものを見た記憶がある 時間か、私か、わからない …

三稜鏡

明らかにきらきら 参る 瞼がチクチクと 侍らせて 撫で付けて そのまま溶かして 浮遊する熱帯魚 極彩色の多面体 明朗 時に迷路 伸びた爪が するすると這う 罅割れた靴底

しなやかせぼね

しなやかに 背骨 昔見た図鑑の 見たことないいきもの黄金比 波を立てる 伝う背骨

美しい人が、好きだと思う 顔や身体でなく、たとえひたひたに隠しても滲んでくるような「うつくしいひと」が好きだと思う 言葉や、所作や、髪や そんなところ ふんわりとかおる「うつくしさ」が好きだ 完全にわたしの物差しであって、わたしの「うつくしい」…

無い物強請り

‪羽が欲しかったんです 鴉のような ‬ ‪時々夢を見ます 黒く複雑に反射する羽が生えた 真白い空を真っ直ぐに見つめる私の夢を まるで絵画のようでした ‬ ‪羽が欲しかったんです 白鳥のような‬ ‪時々夢を見ます 白く透明に輝く羽が生えた 深く青い水の底を真っ…

硝子に屈折、足して雑音

‪例えば六面体の水槽‬ 魚が3匹 こぽ、酸素が逃げる音へ 転がる 製氷機の稼働音が夜を溶かした カーテンの裏の君が 終わる (光源) ‪重なるふくらみを息で‬ なぞる 3つ目の角を、左へ 小さな坂が 緩やかな宙に円を描いた 引出しにしまった小さな僕へ アルバム…

20180314

枕辺に置去り 水の透明は形も消えて流れ行く音 ひらいた猫の尻尾の先に赤い花を刺したりしてみてください グッドバイロングバケーションいつの日かまた会う日までどうか元気で

巡拝

薄く黄色と灰色の階段を 踊りながら二回往復 10 回路 1 春を燃やして 叩き落とした煤の色 目線を合わす 少し痛む下の歯を舐めたようだ 不機嫌な所以 怪訝 冷たい目線

せいかつ

‪「昔の恋の話をします」 そう言ってすぐ 彼はどこかへ行ってしまった

そちらはどうですか

そちらはどうですか こちらはちょっと強い風がふいています そちらはどうですか 昨日植木鉢の花が咲きました 名前がちょっと思い出せませんが、とてもかわいいです あまりにもかわいいので、摘んで標本にしてみました 綺麗です 贈ります

夜の淵に流し込んだ狂気を、 どう捏ねたらここまで美しい紺色になっただろう

死人を勝手に星にするな

歯医者嫌い

溢した緑 吐き出した 削れた爪の 先を噛み砕いて 銀歯の奥に 挟まる意識 蜂蜜 ミルクティ 蝕む 黒くなった距離

squall

ミラーボールになったコンクリートが踏まれる足に 付き添う濡れそぼった犬 引率 ワイヤーの柵は破れてしまって なんだか昨日のママみたいだった 特急 8号車 あんまり忘れてないみたいだ

天井に向かって犬を転写するおとうと、きみの網膜どこだ

卒アル捨てた

布団潜り込んで ウサギの真似して 「さみしい死んじゃう」 野菜嫌いなくせに 地球に優しくしないから 地球も君には優しくないの 財布の中は 昨日買ったお菓子のレシート 爪とか磨けるね あーあ ああ 山積みの 服、課題はしらんかお あーあ 綺麗にした指で 弾…

事故防止 サービス向上 止まる機械 なにもできない 天使を捕まえるための虫取網 破けてしまった 眩しいものは全て等しく 白の延長線上にある

毎日同じものが食べたい

充電コードで首を吊った ほんのりと沸騰した水の垢 ピアノが弾けないまま大人になってしまった 薔薇の花で顔を覆うテンプレート 昨日は三回つまづいたから 朝の雲に溶けてった僕の猫を煙草と一緒に吸い込んだ あなたの約束を許さなかった 学校にはちゃんと行…

「ああそうだぼくたちはひとつの球になってしまった」さよならと猫

珈琲館

ちいさいモールのちいさい喫茶店にいるちいさい貴方を見た 髪はボサボサ目は虚ろで赤い爪はガサガサに剥げていた なんという醜さだ 所詮は全て人間なのだ 私は貴方を白い花の刺さった鞄で叩きつけた 飛び散る 飛び散った ごろんと転がる貴方じゃなくなったそ…

November

ノーベンバーノーベンバー ドアを叩き割る音 ノーベンバーノーベンバー 11番目の色を爪に塗る 火星に行ったぼくの犬 湿気た花火の火花 滞りなく停滞をノックする ラムネ瓶を持って笑う小さな君の頭 全てを幸せのどん底に ノーベンバーノーベンバー 愛してい…

鷹の爪って、お米にいれるやつだっけ

爪に色を塗る 理由を教えてと彼女が言う その目がなんだか冴えて どこかなにかを探しているみたいだったから 何も言わずに伸びた白をバチンと切ってやった 粉々になった 粉々になったよ 毎日同じ日 昨日も明後日も だからなにも思い浮かばないんだろ 小さな…

答え

「例えば ものを落とす 下に落ちる ただ果たして それが落下しているのか 地面が上昇しているのか 例えば 僕が歩く 道が進む ただ果たして 僕が歩んでいるのか 道が後退しているのか 僕は学がないからわからない でも それでもペンは机から落ちるし 僕は後ろ…

UFO

「こうしている間に、幾万もの時間が流れて いくつも死んでいくつも生まれているらしいから なんかしておいたほうがいいかな」 彼女はこういうことを言いはじめるときまって冷蔵庫を開けてみたり靴箱の靴を出しては入れてみたり ラジカセに詰まった埃なんか…

残りの0%は枕の下に

ブルーベリー ブルーベリー 手の先に 爪の隙間に こびりついた 紫色 永遠に 100%のしあわせが こないのは わたしのせい かみさまのせい ぬるくなったヨーグルトを 口の端につけたまま ああなんて 絶えたものだろう