寝てないよ涅槃だよ

おまじないと詩歌とメモ切れ

鷹の爪って、お米にいれるやつだっけ

爪に色を塗る 理由を教えてと彼女が言う その目がなんだか冴えて どこかなにかを探しているみたいだったから 何も言わずに伸びた白をバチンと切ってやった 粉々になった 粉々になったよ 毎日同じ日 昨日も明後日も だからなにも思い浮かばないんだろ 小さな…

答え

「例えば ものを落とす 下に落ちる ただ果たして それが落下しているのか 地面が上昇しているのか 例えば 僕が歩く 道が進む ただ果たして 僕が歩んでいるのか 道が後退しているのか 僕は学がないからわからない でも それでもペンは机から落ちるし 僕は後ろ…

凍傷

「知らないよ」 マイナス20点 「どっかいっちゃえばいいじゃん」 雨が降る 「よくそんなひどいこと言えるよね」 冷たい爪先 「口紅、いらない」 濡れている枕 「知らない」 線と点 それでは

UFO

「こうしている間に、幾万もの時間が流れて いくつも死んでいくつも生まれているらしいから なんかしておいたほうがいいかな」 彼女はこういうことを言いはじめるときまって冷蔵庫を開けてみたり靴箱の靴を出しては入れてみたり ラジカセに詰まった埃なんか…

残りの0%は枕の下に

ブルーベリー ブルーベリー 手の先に 爪の隙間に こびりついた 紫色 永遠に 100%のしあわせが こないのは わたしのせい かみさまのせい ぬるくなったヨーグルトを 口の端につけたまま ああなんて 絶えたものだろう

薄く伸びた雲は大好きな白い紙

おはよう 寝惚けた顔を朝の太陽に沈めるのはすこし恥ずかしい 昨日の夜はね、流れ星が見えたんだ シッカロールのかおりをくゆらせた風が肌をくすぐるうちには庭がないから 鉢植えでも買ってこようか ぼくだけの ちいさな庭 すこし嬉しいね内と外をつなぐピン…

円柱を墓標と見立てて今朝は今肥えた仔猫の花葬と参る とこしえと こさえたかさのうらがわに なびくほらあなの そらはゆめ 8本の電線 五線譜 鳥の家 詰まる雨樋 眠るうつつよ

紙切れ一枚で世界だなんて

煩わしくて 傘を閉じた小さく降る雨が 黒のふわふわに張り付いて綺麗だね歩き煙草の君を 消防車が譲るおみくじは 凶がしあわせ 最悪だけが 注ぐ安心

落とす化粧の雪の様

金木犀の匂いがしたいつ降ったのかわからない水溜りに掬われた脚が乾いた喉が 目が 軋んでいる ノート、いつから付けてないっけ ノート!ノートだ そこに私がいるはずだ風に捲られた白いページが眩しいほどああ スカートのよう 金木犀の匂いがした

税込1300円

午後6時を灰混じりの紺が飲むしゃんとするのが疲れて バスの一番前にきたないわたしを晒している 空をみている 覚えていない夜の境目 唇の端にたまった赤 昨日買ったリップは似合わないから捨てたよ ベビーカーに乗りたい 赤ちゃんのままのわたしがどこかに…

ラジオブルー

ポツリ、 ポツリ あちらの空が薄く橙色をし始める 飛行機だろうか 衛生 星 宇宙船 濡れたアスファルト 呼応 点滅していた電球が切れていたこと 星の見えない夜は涼しい 呼ぶ3時 地平線 電線 煙に巻く止まれの標識 エンジン音は無呼吸、夜の死 明け方の、街が…

腹痛

掃除したベランダに雨が降るような 水を替えたばかりのカップに新しい灰を落とすような 淹れたての紅茶に虫が入るような クーラーで冷えた身体に夏が突き刺さるような 痛みを抱えて今日が輝く

犯行

気がつけば そんな時間だった ネクタイを緩めて 今日の終わりを告げた 扇風機の音がカーテンの裏 僕を揺らす 緑色のグラスの影が逆さまに映る 職員室が、嫌いだった

エイリアン

本を読むこと 音楽 文字を書くこと バイト 学ぶこと 食すこと なんだったろうか 猫の声を聞け 冷蔵庫の卵を数えるにはまだ早い 18:47 イヤホンを失くして久しぶりに使うヘッドホンと英語学習の身に入らなさ身に染みる もうすぐ雨が降る 「私たちはエイリアン…

遠方から

傷口のかたちはそれぞれなのです 1番とおい星というのは 空間一枚を隔てた隣です ペットボトルの蓋とか 枕の裏側とか 1番の遠距離は自分のことです 壁に飾った花に 湿度が戻ることがないこと 遠い思い出に自分がいます

深夜徘徊

コントロール 操作盤 間違いだらけの画板に 差し置いた濡れた手紙 画鋲は突き抜けない 指に滲む一点の錆が ペンの先に 赤黒く映るのが 怖くて息をしている

カマキリ

夏の夕暮れ生ぬるい風に 思い出す 思い出せないことを 0時を過ぎればまた 変わらない昨日 置き放し割れたグラス 漏れ出す 真っ青な約束 そんなのぜんぶ どうでもよかった

10畳の水槽 魚

夜なんて簡単に酔える 大きな黒い幕を吸い込んで すこしの氷を齧ればいい 簡単だ 午前一時は簡単な悲しみだ 毎晩を吸い込んで 身体に回る黒を舐めつければいい 苦いのは自分のこと 古くなったラジオ 下手くそな異国語を瞳の後ろ側に通している

気がつくとそこは庭だった

帰り道、途端に歩けなくなることがあるのです 自動販売機の薄汚れた電気を浴びた蛾がじいとしています 蛾は蝶であり 蝶は蛾ではないのです 火花の音を思い出します 曇った夜には意味のない行為ではありますがふうと息を吐く 途端に歩けなくなることがありま…

飲み込まれているとして君は猛獣のつもり

楽しそうな顔で歩く 嬉しそうな声で笑う 愉快や愉快 馬鹿みたい 嫌いな嫌いを睨みつけ 食い下がる蛇 棚に上げて泣く 後ろ手に絶望して 終わりのついでに始めている 死ぬついで 死なないで 愉快や愉快 不快です

メンソレータム

買った本を読まなかった日があった ママのご飯を食べなかった日があった 虫刺されをそのままにした日 ペットボトルを開け放しにした日 充電の切れた端末を カーテンを 洗濯を 過ぎていくだけ 遊園地の帰り道に見た高速道路 電灯の残影 乾いた口で 指をなぞる

週間2001年

いつでもおにいさんが言った おにいさんが言った 問題ないと書け 大丈夫だと打ち込め 俺は何を見ているんだろうか 見ていない なにも考えちゃいない 考えるってなんだ 伝えようとしていることは 自己でなく他でいた 羅列伝えたかったはずのものというのは 対…

叫べ少女の居ぬ床に

心身恋慕と嘆きつつ 所謂憂いを拭えずに 頸に付着た光苔 あれよあれよと言うままに あれやこれやと言う鳥を 鳴いて殺した夏初め 切って揃えた睫毛へと

額は接触

鼻先0.5cm先の壁と対峙する

カーテンを洗うことはなかなかに

ここから2年と4ヶ月16日 プラス1時間 1秒 2秒 3秒 ここにいる僕は6秒間 そしてその後の合計される10秒間 レントゲンとスコープ レンズの透過性を問う 懐中電灯 屈折の伸縮性を問う 確かめる 正面 十二分であることはいつでも真後ろ 白いレースのカーテンのべ…

速度と体温

忘れた指輪 足りない中指に 蛍光ペンで線を引く 終電前の電車は 穏やかな顔をした乗客 疲れた目 組んだ左脚の爪先が空を切るその先の 急ぐ座標 鉄の塊 座る私

相反する裏表紙切れ一枚分

ついていってもいいですか 消えそうなので ついていってもいいですか 白いので ついていってもいいですか 折れそうなので ついていってもいいですか 「放っておけない」「放っておかれたくない」 どちらでも

捨ててもよいもの

捨ててもよいもの ボールペン ペットボトル 卒業アルバム 灰 布団 写真 プリクラ帳 ノート 古い洋服 全部捨ててもよいもの 昔 以前 この前 過去 存在したことがなくならない物 なくならない物

無題

一軒の空き家 詰め替えのシャンプー 汗をかくコンクリート 叩く足音 明日は多分晴れるから よく眠っていい 7月の熱が 目の黒いとこに移り込むから 「もう忘れたよ」 だからさあ、爪を塗ろう 何かを埋めるよう 気づかなくていい それは美しい だからさあ、水…

湿度

雨の降る薄暗い日は、蛍光緑の傘が必要だ 快速電車 曇るガラスを撫で付ける 網膜、少し離れて窓 迷子のないように