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寝てないよ涅槃だよ

おまじないと詩歌とメモ切れ

湿度

雨の降る薄暗い日は、蛍光緑の傘が必要だ 快速電車 曇るガラスを撫で付ける 網膜、少し離れて窓 迷子のないように

またね

お兄さんが死んだ 死んだよ 連絡が来たのは2日後だった お兄さんがいるというところへ来たけど お兄さんはどこにもいないし お兄さんが足の下にいるとか言われたって私にとってのお兄さんはお兄さんであってお兄さんのひらがなで、お兄さんの目ん玉の黒いと…

忘却を思い出すことの意味が君にあることを握りしめている

薄暗く光る部屋の 布団の隅にチラリと見える 爪の先のあの反射する一ミリ ペット禁止 猫の声 ああ猫がないてる 旧友 いかがおすごしか 僕はもう 君の顔が思い出せない

予定

食事を済ませた 家から歩いて17分の ギフトショップに行った ひとつ蝋燭と メッセージカードを買った 机の上に広げて ペンを持ってみる 驚くほどなにも書くことがない わかっていた それをわかってはいた僕はわかっていましたよというつもりのシーリングをカ…

揺り籠

透明の中に青が入り込むように 睫毛の隙間に冷えた雨のにおいがうつるように 曇硝子に爪で書いた 意味のないおまじないと 汗ばむ首をかんがえて 知らないを埋める駅の雑踏に 揺り籠

色彩環

‪白と黒が いちばんの鮮やかです‬

タイトル未定

‪たまに、極々たまに、この人はいつかの昔にわたくしと同じ個体、あるいは同じ個体の一部、別々の部分でもよいのですが、そういった「同じ」を共有していたものではないのかなと そう思うときがあります そういうときは この人の目ん玉、耳、手の先人差し指…

チクチク

時計の箱の中 時限爆弾 チクタク 縫針の跳んだミシン 今現在 12時14分____秒 滞りなく留まれない 12時14分が 12時15分になるから だからいけないんだよ

ねえそうね

ねえ、きみにわたくしの頭ん中がわかりますかい わかっていただけるのですか どうやらわたくしには到底扱えない代物なようでして、もう十数年間の付き合いですが、一度たりともなんというかこう隣を歩けたことがないような気がしまして わたくしにも何がなん…

ホコリ

いっつもなにかしら引っ張ってきてはやれ悲しいさあさびしいって言って本棚の背表紙に頬を引っ付けてああ冷たいなんて言ってねえ、部屋の銀色を探して探して触れてああ冷たいなんて言って、ねえ それでも窓は開かないんよ ねえ

二枚重ねの一枚

ありがちな煙草に好きな人を重ねた詩歌 簡単にセンチメンタルになりたくて つい夜中にベランダ コーラで酔える単純な身体で 蒸すだけだった煙草が吸えるようになった 夜は広いよ 夜も簡単な感性だね 紙みたいだよ あたし

エロいね

メロンクリームソーダをよく注文するんだ やっすいさくらんぼの浮いたメロンクリームソーダ みどりいろ みどりいろはなんのいろ 乱暴な色をしている 生きることと死ぬことの どちらがどっちの色 紙ナフキンに落ちたミルクの泡が まるで みたいに 白くて なん…

ペンダントとブーケ

お兄さんがお兄さんが書いたなにかしらの 文字達を削除した すきだったの特に理由はないけどすきだったの ため息をついたお兄さんは指一本でそれを消した 削除した デリート エスケープ バックスペース 違くてやはり削除といった わたしはノートを開いてペン…

パン

美しく書き始めたの新しいノート 古ぼけた下敷き使って でも 先生はまったくチョーク触らないし うしろのだれかの寝息うるさい チャイムでリセット今日の講義 おなかすいたのトンネルくぐって

目眩

近くて見えないもの 眼鏡の縁の青色 冷えた鼻先 眉毛の上のにきび そんなもの そんなような 近くて近くて見えないもの

pull

なんていうんだろうな 朝からジュースの缶、おとして なんかあの指、引っ掛けてぷしゅってするとこ あそこが取れちゃってさ 飲めないでやんの そんでなにがあれってさ なんか面白くなっちゃって 真顔で笑って まだ冷蔵庫に入れてある どうしたらいいかわかん…

彷徨い名の先

いつかひとりの猫と暮らすことになったらけむりと名付けようと思っていた しかし‪猫はきっと 自らの名を決めているのだろうと思うと それを教えてほしくてわたしは泣くことしかできない 猫はわたしをなんと名付けているのだろう‬ 呼んでくれよ 呼んで

かおりさん

チクタク時計 郵便番号 ポストにストンと届いた君の 細いひらがな いつもの匂いの 便箋燃やして 立ちゆく煙

一点

つめきり カッターの刃の1mm はさみの二枚 交差する1mm コンタクトレンズの透明 ふやけるほど 境目のない 1mm

kitchen

コンロではなく電子レンジである 換気扇 あるいは鍵のない窓である 賞味期限 ピンク色の羊水 キッチン ママ 台所 台所はママである あるいは

筆算で解けるもののみ

千冊の詩集と寝てみたこと 4本の鉛筆が あるいは黒が 紙の上にストンと乗っていること 連絡先を書いた手帳が失くなる 猫の尻尾を踏んだような あるいは猫を 煙の舞う真上の天井にある 丸い白が機能していないこと 掛算は苦手だった

なまにく

焦ることも騒めくことも手を振ることも要は勝てないんだろう表紙を平にして晒された本のようなあの人のことはどう掻きむしっても僕には届かない 届かないなんてありふれた言葉で測るあの人と僕のセンチメートル センチメンタリズム なんちゃって 僕が言って…

さわやか三組

さわやか三組 いつもにこにこ にこにこ三組 げんきにおはよう おはよう三組 マイちゃん死んで さわやか三組 中庭に告ぐ

ネオソフト

冷蔵庫にあたまをつっこみます 箱と容器とチューブの匂い 卵の殻の匂いもします あったかいです あったかいです よっぽど 空になった紙パックの壁が聳え立っています 開け放しのあの音がまるで明日のようでした

女の子リスト

しおりちゃん 図書室の本のあの透明を切ったような子 みさきちゃん 踏まれた花壇の花に紛れた雨みたいな子 みどりちゃん お下がりの水筒の名前シールを剥がした跡のような子 さつきちゃん 朝の電車のホームの霧のような子 まどかちゃん 教卓の傍に掛けてある…

ghq

我が後悔に、一片の青春無し

ハーモニカって、意外と使わないです

と。まあそんなこんなで来たわけです 海に ええなんだか夜も早いのでまったくそんな感じではないのですけど 漣ってこれでしょうか ちがう? じゃああれでしょうか ちがう? なんだかむつかしいのですね 砂浜は黄色いのですね あ、貝殻が踵に刺さりますね 変…

ポップンミュージック

リズム リズム テロリズム リズム リズム メカニズム リズム リズム フェティシズム リズム リズム ニヒリズム

1丁目れんが通り

黄色いくるま 赤いつまさき あかるい朝は まるで別人 そんなにせかして 干したハンカチ 落とした背中に おとなのにきび

にやにや にゃんこ

どきどき せいぎ うきうき うわき るんるん るーじゅ わくわく わるいこ

リストアップ

いいにおいのすること やさしいフルーツ せっけん フランボワーズ しゃぼん ミルク フラワーブーケ おひさま 雨上がりのアスファルト ブールドネージュ ネイルカラー 洗面台で 鳴く猫

夜光性

あちら側に消えていった 閑散とした工事現場に残る 人の跡 鳴るつむじ風 祭囃子の音は瓦礫の山から 落ちた瓶詰の誰かの手紙 踊る荒地の砂埃を舐めた夜がある

凄惨とした翌る日の

白い壁 突き出た鉄骨 こんな風の強い夜に 雨も降ってないのに君は傘を差して 揺れる遠くの声に耳を澄ます 迫って来る咆哮を 悲しそうな目で見つめて 煽られた無地の傘は寂しく飛んだ 君はそこに立ってた

右ポッケののど飴

3F 出発ロビー 部屋に忘れた眼鏡を悔やむ 猫はお隣さんに託した 煙のような猫だった 水槽の掃除をしなかった 魚はもう泳いでいなかった (明け方の夜空を思い出して 昨日飛んでった下着に黙祷して)

送別会

叫んで 呟いて 流して 握りつぶして 首が締まる 瞳孔が開く 動向 オーバーフローの石鹸の泡 猫みたいな目玉に流し込んで チューリップの花弁の色褪せを君が撫でるから 夜が明けるのを思い出して 黄色いチューリップを漂白した

おとぎばなし

明日地球が終わるとする ぼくはきみのとこに バニラアイスをふたつ買って お釣りはいいですとかっこうをつけて ばかみたいに寒いなかを自転車で向かう ぜんぶが消える瞬間を 手をつないで わりとたのしかったねとアイスを食べながら 笑いあって そうして神様…

オープニングアクト

夜がこっそり幕を開けた 僕は舞台裏からそれを見てる 見てる 僕は僕の舞台の上でも主役になれない だれも居ないステージで 星だけが照明 証明 夜が終わるまで、赤幕の裏で

クラッカー

なんだかぼくらは これをしってる みっつじゃなんだか多すぎて ふたつじゃなんだかさみしくて ひとつじゃ必要にならなくて だからそのままぽつんとしてる 鳴らすとおおきい音がする 引き出しの中でひとりぼっち 使われなかったクラッカー

答え合せ

偶数と奇数のあいだのろまんすとかきましたが はたしてきみはどの数のあいだにいるのだろう 3と4なら干したてのタオル 8と9ならノートの罫線 2と5ならきっとやえばの隙間 ろまんすはきっと 真後ろにいる

特急券

偶数と奇数のあいだのろまんすを 疾るあなたがいそがしくゆく うたよみんより

エコー

ひそひそ ひそひそ みみもとでさわがないで おしえて おしえて 苺がなんで赤いのか 爪がどうして白いのか 鯨はどうして青いのか 水飛沫、泡沫 石鹸の泡の胎盤

おやつのじかん

腐った肉が落ちていて なんだかこちらを見ているけもの 黄色い眼球を突き抜けた針状のもの しらない歯が欠けていた 分裂する双方向 昼間のけもの のたうつ毛玉

風呂場に窓は必要かという研究結果

浴槽に顔を沈めている 窓の桟がとても汚れている 飲んでもよいもの 入浴剤 シャンプー 化粧落とし 固形石鹸の 削られた溝に 胞子を飛ばそう 天井にシャワーを当てて 冷えた水滴を浴びる 花が咲いた こちらを見ている 窓の外は 真っ赤な壁で じいっとしている…

一丁目のボス

4:59:59 目覚ましの鳴る前におきた 勝ったぞ 今日はぼくのものだ 鳥さんおはよう 調子はどうだい 三丁目のトラがまたいろいろしてるって もうつついてやれよ あいつにもおんながいんだって おまえはおひとよしだな いやおとりよしか?おねこよしか?…

避雷針

‪コインランドリーにいぬを、洗いにいった‬ ‪外でねこが見てた ‪ねこをカラスが持ってった ‪あ、食べられちゃう ‬ ‪乾燥に入ったぼくのいぬをちょっと待っててねと 追いかける‬ ‪あら でも ‬ ‪なんで食べられちゃうと思うの?‬ ‪空高く飛んだねことカラスを…

プレビュー

死んでいる なんかがあそこで死んでいる 息を絶えている 遺棄を 放ったのはだあれだ マスクが白い 白い 白い息を吐いた 排他 だれも来ないで だんだんねむいね ねむいね

餞別

君に唄を書いた 誰も知らない 誰も知らない唄を きっとみんな知らない 机の上に書き置いた一枚の便箋に 一行の詩と 三行の懺悔と たった四文字のまぎれもない言葉を 君のために残したことを 忘れて仕舞えばいい そのまま忘れて仕舞えばいい 君も知らない き…

キラキラ

好きな人が好きだった人はきらい 好きな人が嫌いな人も多分きらいで 好きな人が好きな人ももしかしたら、きらい

等式

宇宙についてかんがえながら 目覚ましを止めている 宇宙についてかんがえながら 顔を洗っている 宇宙についてかんがえながら カップラーメンを食べている 宇宙についてかんがえながら 時計を見ている 宇宙についてかんがえながら 食器を洗っている 宇宙につ…

かなしくなっちゃいけないから 目を見開く 乾いた眼球になんだか悪そうな雨粒が ダイブする 曇ったレンズ越しの 飛行機の音 飲み込んだホチキスの針は 魚の骨と変わりない 刺さる蛍光灯が痛い 痛い