寝てないよ涅槃だよ

おまじない

ウルメール・ミュンスターの花瓶より

 

 

 

彼女は泣いておりました

 

母が悲しいお話をするので

 

いくつも夢をみましたが

 

幾千の星には届きませんでした

 

 

 

彼女は泣いておりました

 

雨にふやけてしまった本を暖炉に翳しながら

 

猫は振り向かず歩きます

 

ひとりで居たいのです

 

 

 

彼女は泣いておりました

 

ラブレターを書きました

 

何処か遠く美しい場所

 

知らない誰かを愛するために

 

 

 

彼女は星になりました

 

月にいる彼の愛しい花を

 

一目見るために

 

 

shiawase

 

 

揺れる蛸

 

 

歓迎されなかった固有名詞は

どこへ向かう

 

1.7メートル毎秒のぬるい風

 

隠れ場所の外階段は濡れて

待ち惚けの僕

 

引っかかって抜けた白い髪を

食んで

もどってゆく細胞

 

 

あと15分

 

冴えてしまった深夜の意識を抱えている

 

 

o beata solitudo , o sola beatitudo

 

 

戻らないと 伝えておいてほしい

 

 

 

裸足とリトルアニー

 

 

外に出ると雨が少しだけ降っていた

 

シャワーを浴びてもほんのり匂う香水

 

あの時のギャルは元気にしてるかな

 

好きだった先生はもう結婚したかな

 

欠けた歯の跡を舌でなぞった

 

もうずっと全部忘れた振りをした

 

身体中におまじないをかけて

 

よく見えない目で銀色の車を追った

 

ぼろかったんだよな 

 

脆かったんだよな

 

もうずっと 忘れた振りをしてた

 

生えてくる爪が 青かったらいいのに

 

 

反射してきらきらする睫毛

 

どこかでどうか

泣かないで少女

 

 

 

現在地、自宅 帰りたい

 

 

 

シフト表に丸がついている四角を

凝視する

 


これといって面倒くさい

 


舐めた靴紐

擦り切れて

夜風に羽虫

 


凝視する

帰りたい

 


何故の赤色

如何の白色

 

 

 

シフト表を凝視する

 


この日は確か