沖にいる君を救命ボートにて迎えど珊瑚の墓標と出会う
冷えた朝 頭が下で足が上 先生、私は時計が読めぬ
壁際に張り付く小さな意識にて 昨日の晩は何をしていた
変わり目は少し具合が良くなくて全体的に白っぽいから
沖にいる君を救命ボートにて迎えど珊瑚の墓標と出会う
冷えた朝 頭が下で足が上 先生、私は時計が読めぬ
壁際に張り付く小さな意識にて 昨日の晩は何をしていた
変わり目は少し具合が良くなくて全体的に白っぽいから
透明で
青い
反射する
かみさま
電車とホームのあの隙間に
吸い込まれるように落ちる脚を
終電は人が多いから
いつも少し前に乗る
乗りはぐってみたい
甘い匂いの裏道を
踊る
ネオン
綺麗
虫がいなくなった
綺麗だ
進め、夏! 破滅
帰れよ もうどうでもいいだろ
ベランダが西日を浴びて
人工芝が青々と茂る
積まれた本の塔に頭を突っ込んで
「明日世界が終わります!」
壁の薄い賃貸だから
でかい声 出せない
そうだ俺は確かここで
彼奴と殴り合いをした
嘘だよ
悠長な事言ってるから
またプラゴミの日
扇風機 壊れそうだから
ぶん殴った
壊せなかった
粗大ゴミの日が
再来週だったから
https://note.mu/kasatohoutai/n/n5beba7083ea5
あの時、私は確かに暴発した
本を投げて
叫び
ドアをこじ開けて
逃げ出した
終電がまだあった
遠くまで行ってしまえばよかった
所詮の数十メートル
疲れて座り込んだ
ドアにぶつけた膝が青い
痛い
なにをしてるんだろう
何がしたいんだろう
どうにもなるわけがなかった
ガラスのテーブルを割るくらいしたらよかった
でも、怪我はしたくなかった
まだ浅い夜だった
水道管を流れる水の音が
煩い
帰りたくなかった
帰るしかなかった
所詮の数十メートル
どこにも行けなかった
死ぬほど泣いた日は思い出せるのに
死ぬほど笑った日が思い出せない
正しい脈拍を探している
まっさら綺麗に白い手首に
左手を寄せても
聞えるのは風の音だけ
滑っていくほど美しかった
貴方の腹部
木目みたいに通る静脈に
針を刺したらどれだけ
綺麗に流れるだろうと思った
唾液でさえ
刃物を持っていない
爪を見る
突き立てる
貴方の赤色が見たくて
牛乳を毎日飲んだよ
風が吹いている
網膜が割れる
風が吹いている
冷蔵庫の二段目
首を折り曲げて
頭を突っ込んだ
動かない貴女を
途切れた記憶で
明日もちょっと
待っている僕が
居たりなどする