エフェメラの胎動

おまじない

残りの0%は枕の下に

 

 

 

ブルーベリー ブルーベリー

 

手の先に 爪の隙間に

 

こびりついた 紫色

 

永遠に 100%のしあわせが

 

こないのは

 

わたしのせい かみさまのせい

 

ぬるくなったヨーグルトを

 

口の端につけたまま ああなんて

 

絶えたものだろう

 

 

 

落とす化粧の雪の様

 

 


金木犀の匂いがした
いつ降ったのかわからない水溜りに掬われた脚が
乾いた喉が 目が
軋んでいる
ノート、いつから付けてないっけ
ノート!ノートだ そこに私がいるはずだ
風に捲られた白いページが眩しいほど
ああ スカートのよう


金木犀の匂いがした

 

 

税込1300円

 

 

 

午後6時を灰混じりの紺が飲む
しゃんとするのが疲れて バスの一番前にきたないわたしを晒している
空をみている 覚えていない夜の境目

 

唇の端にたまった赤 昨日買ったリップは似合わないから捨てたよ

 

ベビーカーに乗りたい
赤ちゃんのままのわたしがどこかにいる

 

つらいことがしたくなくて生きてる
このバスどこに向かってるんだろう

 

 

 

 

ラジオブルー

 

 

 

ポツリ、 ポツリ

あちらの空が薄く橙色をし始める

飛行機だろうか 衛生 星 宇宙船

濡れたアスファルト 呼応

 

点滅していた電球が切れていたこと

星の見えない夜は涼しい

呼ぶ3時

地平線 電線 煙に巻く止まれの標識

エンジン音は無呼吸、夜の死

明け方の、街が息を返す瞬間

 

欲情する汗ばむシャンプーのにおい

 

天国でも、地獄でもない 海を

渡るラジオブルー

 

 

 

 

 

 

腹痛

 

 

掃除したベランダに雨が降るような

水を替えたばかりのカップに新しい灰を落とすような

淹れたての紅茶に虫が入るような

クーラーで冷えた身体に夏が突き刺さるような

 

痛みを抱えて今日が輝く