煩わしくて 傘を閉じた
小さく降る雨が 黒のふわふわに張り付いて綺麗だね
歩き煙草の君を 消防車が譲る
おみくじは 凶がしあわせ
最悪だけが 注ぐ安心
煩わしくて 傘を閉じた
小さく降る雨が 黒のふわふわに張り付いて綺麗だね
歩き煙草の君を 消防車が譲る
おみくじは 凶がしあわせ
最悪だけが 注ぐ安心
金木犀の匂いがした
いつ降ったのかわからない水溜りに掬われた脚が
乾いた喉が 目が
軋んでいる
ノート、いつから付けてないっけ
ノート!ノートだ そこに私がいるはずだ
風に捲られた白いページが眩しいほど
ああ スカートのよう
金木犀の匂いがした
午後6時を灰混じりの紺が飲む
しゃんとするのが疲れて バスの一番前にきたないわたしを晒している
空をみている 覚えていない夜の境目
唇の端にたまった赤 昨日買ったリップは似合わないから捨てたよ
ベビーカーに乗りたい
赤ちゃんのままのわたしがどこかにいる
つらいことがしたくなくて生きてる
このバスどこに向かってるんだろう
掃除したベランダに雨が降るような
水を替えたばかりのカップに新しい灰を落とすような
淹れたての紅茶に虫が入るような
クーラーで冷えた身体に夏が突き刺さるような
痛みを抱えて今日が輝く
気がつけば そんな時間だった
ネクタイを緩めて 今日の終わりを告げた
扇風機の音がカーテンの裏 僕を揺らす
緑色のグラスの影が逆さまに映る
職員室が、嫌いだった
本を読むこと 音楽 文字を書くこと バイト 学ぶこと 食すこと
なんだったろうか 猫の声を聞け 冷蔵庫の卵を数えるにはまだ早い
18:47 イヤホンを失くして久しぶりに使うヘッドホンと英語学習の身に入らなさ身に染みる もうすぐ雨が降る
「私たちはエイリアン」名付けられた未確認物体 さあ定義して提唱して定款して
平和を願うならばすべてに死を望もうか 青い表紙のノートが泣いている
空いた缶詰の中に残るものは何だったろうか
愛と呼ぶにはまだ早い 多分早い
焼けた夏の肌にはなにが埋められているだろうか
気づけば消える きっと消えていく
電波をなぞれ 座標軸は目前である