寝てないよ涅槃だよ

おまじないと詩歌とメモ切れ

珈琲館

 

ちいさいモールのちいさい喫茶店にいるちいさい貴方を見た 髪はボサボサ目は虚ろで赤い爪はガサガサに剥げていた なんという醜さだ 所詮は全て人間なのだ 私は貴方を白い花の刺さった鞄で叩きつけた 飛び散る 飛び散った ごろんと転がる貴方じゃなくなったそれを左脚で奥へ追いやりその椅子に神様みたいに座った 緑色の液体のその中の透明な氷は 凍った緑に塗れて汚くなっている 小さく笑う小さな頭に何があってラムネ瓶はコロンと反射するのだ 神様は私を見ちゃいないが、そうして誰のことも見ちゃいない いいじゃないか 美しいじゃないか 緑と赤は生と死で、青い透明がその真ん中だ そう言った昔の貴方は元気にしていますか 煙と痰を吐き出した 小さな椅子がカタカタと笑っている 

 

 

 

November

 

ノーベンバーノーベンバー ドアを叩き割る音

ノーベンバーノーベンバー 11番目の色を爪に塗る

火星に行ったぼくの犬 

湿気た花火の火花た気湿 

滞りなく停滞をノックする ラムネ瓶を持って笑う小さな君の頭 全てを幸せのどん底に 

ノーベンバーノーベンバー 愛していたよ

 

 

 

鷹の爪って、お米にいれるやつだっけ

 

 

爪に色を塗る 理由を教えてと彼女が言う その目がなんだか冴えて どこかなにかを探しているみたいだったから 何も言わずに伸びた白をバチンと切ってやった 粉々になった 粉々になったよ 毎日同じ日 昨日も明後日も だからなにも思い浮かばないんだろ 小さな瓶から とぷんとした筆を取ること 生臭いピンクと白が 黒く青くなっていくのを シンナーみたいな匂いが消えることを待つのを でも君は なにも知らなくてもいい 

 

 

答え

 

 

「例えば ものを落とす 下に落ちる ただ果たして それが落下しているのか 地面が上昇しているのか 例えば 僕が歩く 道が進む ただ果たして 僕が歩んでいるのか 道が後退しているのか 僕は学がないからわからない でも それでもペンは机から落ちるし 僕は後ろには歩いていけないのです」

凍傷

 

 

「知らないよ」

 マイナス20点

「どっかいっちゃえばいいじゃん」

 雨が降る

「よくそんなひどいこと言えるよね」

 冷たい爪先

「口紅、いらない」

 濡れている枕

「知らない」

 線と点

 

 それでは

 

 

 

 

 

 

 

UFO

 

 

「こうしている間に、幾万もの時間が流れて いくつも死んでいくつも生まれているらしいから なんかしておいたほうがいいかな」

 彼女はこういうことを言いはじめるときまって冷蔵庫を開けてみたり靴箱の靴を出しては入れてみたり ラジカセに詰まった埃なんかをつついてみたりする

「地球が回っているというより なんかもっと違うものが回ってるんだと思うんだよね」

腹が減った 戸棚のパスタを茹ではじめる 塩がない

「海のためのバケツのフチがここで、わたしたちがフチコさん」

海から取った塩はパスタに使えるのだろうか

「隣の花屋さん チューリップがないの 球根はあるのに」

塩がない

「爪の青い子を見たの 空と海どっちからきたと思う?わたしはね 駅前の喫茶店のガラスがいいとおもう」

買い貯めのが戸棚にあるはず

「UFO UFOって言うけど、うちゅうの人が見たらきっとクルマもヒコウキも UFOだよね」

俺たちがうちゅうじんか 

「悪くないって顔してる」

悪くない